クリーニング発祥の地・横浜発、"洗濯ブラザーズ"が発信するナチュラル洗剤の世界的評価
"洗濯ブラザーズ"こと、<リブレ ヨコハマ>の茂木康之氏(左)と貴志氏(右)
ロウアー・マンハッタンに今年9月オープンしたばかりのミラノの名店「10コルソ・コモ」に、日本の洗濯洗剤が置かれている。高感度な店が集まるパリ・マレ地区のセレクト雑貨店「ボウズ&アローズ」にも同じものがあった。<LIVRER YOKOHAMA/リブレ ヨコハマ>は、"洗濯ブラザーズ"を名乗る茂木兄弟が長年研究し完成させたナチュラル洗剤だ。パームオイルを原料にグリセリン、アミノ酸を配合。汚れ落ちを実現しながら環境に優しく、柔軟剤を使わずとも洗い上がりはふっくらと嵩が増す。実際に商品を分けていただき、自宅でセーターを洗った筆者も実感した。まるで高価なクリーニングを依頼したかのような仕上がりを自宅で可能にしている洗剤なのである。
©LIVRER YOKOHAMA
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「もともと僕がこの街で宅配クリーニング店をやっていたんですが、貿易の仕事をしていた兄と共に、ナチュラル洗剤の研究をはじめたのが2011年ぐらいの事。当時ニューヨークでナチュラル洗剤のブームが来ていたことを聞いて、興味を持ったことがきっかけです。肌が敏感な僕の息子にも安心して使える洗剤が作りたかったというのもあります。兄に頼んで取り寄せてもらい自分で試したけど、納得いくレベルじゃなかったので、それなら自分たちで開発しよう、と」。
納得のいく完成品は2016年夏。独自の洗濯技法でこだわりのクリーニング店を運営していた弟の康之氏が経営する横浜・すみれが丘という小さな街にあるクリーニング店の店頭のみで、そのナチュラル洗剤はほそぼそと販売されていたのだという。しかし馴染みのお客さまに購入してもらうと、嬉しい評判が近所を駆け巡った。兄の貴志氏は振り返る。
「近所のお客さまからの評判がすごくよくて、店頭販売をはじめて1年ほど毎日のように評判が増え続けていくんです。でも弟の仕事だし、僕としてはちょっと手伝っただけなんで実感はそれほどなかったんですが、これはなんだか大変なものが出来あがったらしい、って思うようになりまして、弟と一緒に仕事をするため去年会社をやめました」。
ディスプレイはまるでバーカウンター。ボトルやウォーターディスペンサーからショットを注ぐように洗剤を量り売りする。アイデアは最初に洗剤の卸先となった食材量り売り専門店のアイデアだそう。パッケージデザインもグローバルに通じるセンスの良さ。兄弟ではじめた洗剤の威力は噂を呼び、アパレル業界からファッションメディアにまで飛び火。汗やファンデーションなどの汚れ落ちが好評で、シルク・ドゥ・ソレイユなどの舞台衣装を預かるほどの信頼も得られた。
今年1月、パリの展示会に参加すると前述した有名セレクトショップのバイヤーに見初められ、春にはいくつかの国内アパレルの展示会に参加、8月からは伊勢丹メンズでの展開も始まっている。
それまでの<リブレ ヨコハマ>は、地域の方々のランドリーと舞台衣装の専門クリーニングを手がけるほんの10坪ほどの店舗。洗剤が完成してからは、様々なところに呼ばれるようになり、メディアの取材も増えた。もともと大阪出身という兄弟が、横浜の閑静な住宅街から世界中に届く洗濯洗剤を販売しているとは驚きを隠せないが、都内に出店して一気に天下を取りにいく気は未だない。
「洗剤は多くのひとに使ってもらいたいけれど、クリーニング店って地元密着型のビジネスモデルなので。それに、この街が気に入っているんです。都心部のコンサートホールへのアクセスに便利だし、仕事をしながらサーフィンに行くのにとても便利。ここは僕たちの楽園に一番近い場所なんです」。
取材行ったのは11月上旬。冬の足音がそこまで聞こえている季節にもかかわらず、兄弟はいい感じに焼けていた。店頭のラインナップには「ウェットスーツ専用」と書かれた洗剤が確かに並んでいる。
「ファッションにとても親和性が高い洗濯洗剤は、服を"長く大切に"着たいという方たちにぴったり。是非僕らの<リブレ ヨコハマ>を使って欲しい」。と語ってくれた弟の康之氏。<リブレ ヨコハマ>のホームページでは、洗剤のパフォーマンスを十分に発揮させるための「センタクノシカタ(洗濯の仕方)」が丁寧に解説されている。
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Photo:Natsuko Okada
Text:Yasuyuki Ikeda
*価格はすべて、税込です。
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