“ロゴファッション”へのアンチテーゼとしてのロゴづかい。
「プロユースのものって、それだけで単純に心に響くじゃないですか。1個ずつチェックしたら、アナログな機能でもすごくハードに使うことを意識していたりもします。たとえばフルジップのパーカーって、フードを被ってドローコードを絞れば、より防寒性が高くなりますよね。でも<ティンバーランド プロ®>には、あえてコードをつけていないものがある。せん断機など大型の工作機械に引き込まれて、大事故につながる危険性があるからです。そういうガチな現場で検証されたからこそ生まれた、合理的なプロダクトデザインというものはすごくリスペクトできるし、カッコいいと思います」
つまり尾花氏が感じた<ティンバーランド プロ®>にとっての根本やコアとは、“現場”で磨かれた機能的で合理的なデザイン、そしてワークウエアが本来的に備えているミニマルさにほかならない。
「プロユースも可能なファッションアイテムにブラッシュアップするべく、ミニマルなマイナーチェンジを心掛けました。そして<ティンバーランド プロ®>というブランド自体を知っている人がとても少ないので、ブランド固有のデザインソースをしっかり感じられるよう、重要なポイントはしっかり残すようにしています。特にブランドを象徴する色目というのは、大事にしましたね。レスキューオレンジにグレー、そしてブラック。実はインラインでも、ブラックが一番少ないんです。それが面白いなと。グレーは仮に汚れてしまっても、馴染みがいいんでしょうね。こういう大きなブランドは視覚的なサブリミナル効果というのも大事にするから、微妙な色目もいい加減にしていない。そこはしっかり則りながら、ギリギリ違うというところを目指しました」
ワークウエアの本質、<ティンバーランド プロ®>の根本を追求しつつ、ミニマルでモダンなストリートファッションへと昇華させることを目指した尾花氏のひとつの結論が、大胆なロゴ(タグ)を駆使することであったというのも興味深い。
ブーツ 左/各27,000円、右/19,440円
「あとはパンツのダブルニーやチャッカブーツのつま先保護用のプレートなど、意味のあるディテールでもタウンで着づらいと思ったらデザインは変えずに省いています。ただワークウエアというのは必要最低限の要素で構成されているので、そのままタグがない状態でショップに並んでいたら、どこのブランドのものかわからなくなってしまいます。だからブランド名や、アドバタイジングがわざわざ前面にあしらわれていることが多いですよね。そういった観点から、N.ハリのロゴが入ったスペシャルバージョンのタグを採用し、一番目立つところに付けることによって、デザイン自体はミニマルだけれどすぐに<ティンバーランド プロ®>なんだな、とわかるようにしている。これがデザイン上の最大の特徴だと思います。ロゴを前面に押し出してはいますが、昨今のロゴブームの文脈とは、全く違うアプローチから生まれたデザインなんですよ。それが面白いなと思ってわざと当て込んだというのはあるかもしれないですね」
いよいよ11月17日(土)から、メンズ館2階=インターナショナル クリエーターズをはじめ、ティンバーランド伊勢丹新宿PC4店およびティンバーランド公式オンラインショップ、N.ハリウッド取り扱い店舗で発売開始される、本コレクションに注目だ。
Photo:Natsuko Okada
Text:Junya Hasegawa(america)
*価格はすべて、税込です。
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メンズ館2階=インターナショナル クリエーターズ
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