【インタビュー】故郷ブラジルの自然に魅せられた、<DIEGO VANASSIBARA/ディエゴ バナッシバラ>の拘り
シューズデザイナーのディエゴ・バナッシバラ氏
建築の知識が生かされた構築的デザインに注目
自身の名を冠したブランドを手がけるディエゴ・バナッシバラ氏は、今年33歳。ブラジル南部の田舎町で生まれ育ち、建築を学んだのち渡英。ロンドンにある靴の名門校、コードワイナーズ カレッジで靴づくりを学び、2013年にロンドンでブランドをスタート。
シグネチャーである個性的な木製パーツ使いや、構築的なスカルプチュアソールなど、デザインの随所に建築の要素が垣間見えるのが特徴。英国の伝統的な靴をベースにしながら、自由でコンセプチュアルなインスピレーションを落とし込んだ独創的なデザインが特徴だ。
そんな彼が靴作りで目指すのは、「フレキシブルであり、エキサイトするような靴であること。そして、オリジナリティがあること」。男性があらゆるシーンで、エナジーを得て、モチベーションを高めてほしいという彼なりの靴への想いが込められている。
「今シーズンは、自分の故郷であるブラジル・アマゾンの森からインスピレーションを得て、伐採された木や、原住民の衣装・化粧などアマゾンならではのマテリアルやデザインに着目しています。と同時に、現地に住んでいる原住民に向けてのアートピースとして取り組んでいます」
彼の大きな視点には“アマゾンの保護”があり、アマゾン独特のトライバルな意匠や、フェザーなども取り入れながら、「原住民が住んでいる場所を守るための靴」という発想からコレクションが展開された。
ブランドのシグネチャーモデルであるクラシックなウイングチップに、木にハンドカーヴ(彫り)でトライバル柄を施したパーツを追加。トライバル柄は原住民の顔のペイントを表現し、シャークソールのようなソールの波形は人の躍動感をあらわした。シューズ 129,600円
スリッポンに付けられた木製パーツは、原住民が使っているカゴの編み目がモチーフ。シューズ 97,200円
美しい仕上がりを見せる全面フェザー(羽根)のスリッポンは、首長が身につける羽根のかぶりものをヒントに、アマゾンの原住民の"美しく飾る"文化の象徴であるリアルフェザーで表現された。シューズ 151,200円
シーズンに合わせてアップデートしていく靴
取材時にディエゴ氏が履いていたのはブランドがスタートしたときのオリジナルデザインのウイングチップ。日本人の関係者が履いていたのも同じデザインだったが、オリジナルデザインの“パーフォレーション”部分がトリプルステッチになっているモデル。一見しただけではすぐ見分けがつかなかったが、「トリプルステッチは、アマゾンのトライバルの縄を連想したものです」とディエゴ氏。「従来のデザインにシーズンテーマを加えてアップデートしていくのも<ディエゴ ヴァナシバラ>の一つの個性。デザインのエッセンスを感じていただければ」と続けた。
Photo:SUZUKI SHIMPEI
Text:Makoto Kajii
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