【インタビュー】シューズデザイナー勝川永一が語る「感性と機能」(後編)|<H? Katsukawa From Tokyo/エイチ カツカワ フロム トウキョウ>ポップアップストア開催
靴の可能性と表現はどんどん自由度を増しています
――今回のデニムコレクションは「シティ クライミング」の新バージョンですが、かなりの自信作ということですね。
シティ クライミングシリーズは、靴としてのコンストラクションが気に入っています。今は、スポーツメーカーがタウンユース寄りのものを出したり、靴メーカーがスポーツテイストをより意識したりしていますが、僕たちは都市生活の中で、そんな双方の感覚を無意識的に感じ、着こなしの中で表現することが当たり前になっています。
――スーツにマウンテンパーカを羽織ったり、坪内浩さんのスニーカーシリーズが売れていたり。
靴は履くための道具で、履くシーンはより多様化して、フットウエアは世の中に出し尽くしている感がありますが、作りである僕たちには逆に自由度が増しています。自分の中に「都市生活をいかに面白く、豊かにするか」というテーマがあって、そこから生まれてきたシティ クライミングには可能性を感じています。
感性に育まれた機能性のあるフットウエアを目指して
――そのテーマはいつ頃から意識されているんですか。
やはり3・11からでしょうか。僕は2007年のブランドスタートから、靴を通じて豊かさを伝えたいと革の素材感にこだわって活動してきましたが、あの大震災をきっかけにして、フットウエアの機能を高めながら、皮革の良さをミックスさせたプロダクトを作りたいと思うようになったのです。
――なるほど。そういう想いから完成に至ったのがシティ クライミングだと。
そのような「機能」については、自分自身も都市生活者として暮らしの中で実際に履いて試行錯誤しています。その一つのカタチがシティ クライミングで、日常にこういうものがあるとより快適になるという「感性」に訴えかけるのがニベ革シリーズです。たとえば皆さんも“ダウンジャケットを着て美術館へ行く”ということを普通にしていますが、そういうことも機能と感性だと思います。
<エイチ カツカワ フロム トウキョウ>「デニムコレクション」(伊勢丹新宿店メンズ館限定)チロリアン 66,960円
都市生活にフィットする快適なギアとしての靴
――そういうお話を聞くと、去年のイセタンメンズの『JAPAN靴博2015』に出展した「土に還らないものは世の中に悪い」という考えのもと、ニベ革を使った「土に還る靴」という発想も理解できる気がします。
イセタンメンズのバイヤーからお話を受けたときはかなり考えましたが、ああいうチャレンジをすることで、自分の中に新しい世界が見えたり、次に進めたりします。高いハードルは筋力トレーニングと同じで、無理をすれば次の段階に行けるんです。他のシューズデザイナーやブランドが作った靴からも刺激を受けたし、ああいうチャレンジは見ていて面白いですよね。
――「感性と機能」のバランスを兼ね備えたシティ クライミングの魅力をぜひ。
シティ クライミングシリーズはグッドイヤーウェルテッド製法で、横からも踵(かかと)をしっかりホールドする革のロングカウンターを採用して、フィット感をより高めています。手間のかかる製法ですが、自分自身が思う“快適な履き心地の靴”にはこだわっていきたい。今回のポップアップでは「デニムコレクション」としてチロリアン、ローファー、そしてスニーカーの5型を展開します。ぜひ、都市生活と着こなしにフィットする靴=ギアをお試しください。
<エイチ カツカワ フロム トウキョウ>ポップアップストア
□3月9日(水)~3月15日(火) デザイナー勝川永一さん来店予定 3月12日(土)・13日(日)
□メンズ館地下1階=紳士靴
■パターンオーダー詳細
・ニベ革(プリントレザー)シューズ「レザーソール」仕様71,820円
・ニベ革(プリントレザー)シューズ「クレープソール」仕様60,480円
・デニムコレクション(伊勢丹新宿店メンズ館限定)スニーカー34,560円
Photo:SUZUKI Shimpei
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