1908年にレミー・リシャール・ポンヴェール氏が創業したフランスのシューズ〈パラブーツ〉。ソールを自社製造する世界で類まれなシューズメーカーとして今も尚、当時から変わらない伝統的な技術を忠実に守りながら生産を行い、高い品質と快適な履き心地で世界中の顧客を魅了しています。今回は伊勢丹メンズ館の中でも多くのファンから愛されている＜パラブーツ＞をクローズアップし、人気の秘密を解説していきます。

1.ヒストリー編

アメリカから持ち帰ったラバーブーツが起点！

＜パラブーツ＞の歴史は1919年、フランスの靴職人レミー・リシャールポンヴェール氏が、滞在先のアメリカで見つけた「ラバーで覆われたブーツ」を持ち帰る事から始まります。レミー氏はそのブーツからラバーソールの革靴のアイデアを得ると、ブラジルのパラ港（Port of Para）から天然ラテックスを直輸入し、靴の製造をスタートさせました。


レザーや木などが革靴の底材として主流だった当時、＜パラブーツ＞のラバーソールはとても革新的で、堅牢で摩耗に強く、天候にも左右されにくい上に、コンフォタブルな履き心地のワークシューズとして、フランスの一般労働者や消防士、郵便配達人、軍人から瞬く間に支持を得ました。さらに、1960年代にはフランスの有名な北極探検家ポール・エミール・ヴィクトール氏ら冒険家たちが愛用したことで、アウトドアシューズとしての地位も確立していきました。

その後、＜パラブーツ＞は「シャンボード」や「ミカエル」といったブランドの中でもアイコンとなる名作が誕生し、世界各国に展開が広がります。伊勢丹新宿店メンズ館紳士靴の中でも、確かな品質と機能美はもちろんの事、年齢を問わない普遍的なデザインのフレンチシューズとして支持を得ており、多様なライフスタイルやシーンに合わせた装いに取り入れられています。

2.ものづくり編

創業から現在も受け継ぐ一貫した自社製造の精神

「全ての製品に本物の信頼性と高い品質、そして魅力を」
＜パラブーツ＞は、ソールも一貫して自ら製造する”世界で唯一のシューズメーカー”として創業してから、現在に至るまで、変わらないモノづくりの精神と伝統を守り、厳しい基準のもとに造り続けられています。

その中でも、＜パラブーツ＞と言えば、ブランド創業の基となるラバーソ―ルと、特徴的なノルヴェイジャン製法が特徴です。ここではその二つを解説していきます。

Ⅰ.＜パラブーツ＞を支える3つのラバーソール

＜パラブーツ＞のラバーソールは効率と品質の点から独自のゴムの合成法を編み出し、今もクオリティの高い製品が職人の手によって受け継がれています。工程として、まずローラーで均等に練られ一足ずつカッティング出来るようバー状に伸ばして型にします。次に、260度の熱と、200tの圧力を加えて焼いていくのですが、ソールの種類によって焼き方も微妙に変えています。＜パラブーツ＞の履き易さ、耐久性の秘密はこの丁寧な工程を経て生み出されるラバーにあり、履き心地の柔らかさと耐久性という相反する部分をうまく融合させた、＜パラブーツ＞が誇るラバーソールなのです。 

Ⅱ.＜パラブーツ＞の特徴的なノルヴェイジャン製法

ノルヴェイジャン製法のシューズを製造する＜パラブーツ＞は、この製法に対して絶対的な自信を持っています。元は、登山靴に用いられた製法で150以上もの工程を経て完成する大変手間の掛かる製法です。ウェルトと呼ばれる帯状の革を使い、アッパーとソールを2重のステッチで縫いつけ揺ぎ無い頑強さを作り出しています。また、ウェルトがL字型に折れて縫い付けてあるので、水の侵入を防ぐと共に他の製法には見られない独特な外観と高いファッション性を生み出しています。

3.モデル編

汎用性の高さが魅力。代表5モデルをメンズ館スタッフが履きました！

＜パラブーツ＞は機能性や耐久性の高さはもちろんの事、シンプルで汎用性のあるデザインのものが多く、メンズ館の中でもファッションアイコンとしてお洒落な大人たちから絶大な支持を得ています。

モデル編では、ブランドの中でも人気の5モデルに加え、パラブーツを愛する伊勢丹新宿店 メンズ館を担当する5人の社員が、それぞれに取り入れたスタイルを紹介。オンオフ問わない幅広いコーディネートに合う＜パラブーツ＞の魅力をごらんください。

1.CHAMBORD｜シャンボード

「AMAERCA」や「CHAMBER」などの名前で長年Uチップモデルがつくり続けられていましたが、ウェルトや素材のマイナーチェンジを行い、1987年に「CHAMBORD」が、誕生しました。ブランドの顔とも言うべき大定番である「CHAMBORD」は、さまざまなシーン（雨やコンディションの悪い路面等）に対応出来るようにソール部分に完全自社生産の100％天然ラテックスからできる「PARATEX」を採用しています。

また、革にもこだわり、ワックスの含有率が通常の革に比べると高く、耐久性、耐水性に優れ、履き馴染みが良い、独特な光沢感のある”リスワクシー”レザーを使用。世界中のファンから愛されているモデルです。オンオフ問わない汎用性の高いデザインは今のトレンドにもマッチしており、伊勢丹新宿店メンズ館で展開しているパラブーツの中では「CHAMBORD」の黒が一番の人気です。

2.MICHAEL｜ミカエル

創業者レミー・リシャール・ポンヴェールの孫で現会長のミッシェル・リチャード（※ミカエルはラテン読み）の誕生を祝い、その名を冠したモデルとして1945年に誕生。＜パラブーツ＞の名が世界へ広まった代表的モデルであり、チロリアンシューズの名作として現在も高い人気を誇ります。本来のチロリアンシューズは山岳、民族的要素の強い、ハードスペックなものが主流ですが、「MICHAEL」はそういった部分を排除したことで、デイリーな洋服にも合わせやすくなり、世界中へ浸透していくこととなりました。


「MICAEL]着用岩田スナップはこちら

3.AVIGNON｜アヴィニョン

ヴァンプの革をアッパー側面に乗せて縫う、いわゆる乗せモカで作られるベーシックなUチップシューズです。履き口の切返しのデザインは、パラシュートブーツを原型としています。また、革には「CHAMBORD」と同じ”リスレザー”を使用しています。
一般的にはカジュアルシューズの部類となりますが、「AVIGNON」はノーズが長くすっきりとしているデザインなので、ジャケットスタイルにも相性が良いです。 ジャケットを着る文化の強いフランスでは、長年人気となっています。

4.REIMS｜ランス

1986年にデビューした定番チロリアンシューズ“MICHAEL”のローファーモデル。
ぶ厚いソールを履いていることから、ローファーでもカカトが脱げ易くならないように口入部分を深く、そして独特な角度で仕上げられています。アメリカンテイストでありながらフランスの粋を感じさせる一品で世界中に広く認知されました。10年間の生産期間を経て一度1995年に生産を中止したものの、多くのお客さまの要望を受けて2009年に復活しブランドには無くてはならない代表モデルの1つです。


「REIMS」着用増田スナップはこちら

5.WILLIAM｜ウイリアム

ダブルモンクストラップという乗馬ブーツからインスピレーションを得てつくられたフレンチデザインの代表的なアイテムです。かつて世界最高峰の靴ブランドの一つである<JOHN LOBB/ジョンロブ＞のカジュアルライン“CORTAGE COLLECTION”を＜パラブーツ＞が手掛けており、そのコレクションの中で登場したのがこのモデルです。当時の木型を使い、現在も作り続けられています。
「WILLIAM]着用岩田スナップはこちら

4.Q&A編

お客さまが気になるメンズ館でよくあるお問い合わせ

伊勢丹新宿店メンズ館地下1階紳士靴の＜パラブーツ＞スタッフが、店頭でのお客さまからよくあるお問い合わせにお答えいたします。


Q1.雨の日でも履けますか？

A1.たっぷり油分を含んだ革、ゴム底、ノルヴェイジャンウェルト製法で作られている為、耐久性に優れ、雨でも気にせず着用して頂けますが、完全防水の靴ではありませんので、雨に濡れた際のお手入れは行ってください。＊お手入れについてはQ3をご参照ください。


Q2.靴の表面にある白い粉のようなものは何ですか？

A2.ワックスです。
革に含まれているワックスが気温や温度の変化によって凝固し表面に浮き出てきます。その場合はブラッシングを行うことで表面が綺麗になります。


Q3.お手入れ方法を教えてください。

A3.磨き、油分の補給については下記ブランド公式ケアガイドを参照ください。


Q4.フィッティング（サイズ感）を教えてください。

A4.定番モデル「シャンボード」、「アビニョン」、「ミカエル」、「ウィリアム」、「ランス」)はヒールカップが大きいため、フィッティングは他の革靴モデルより大きめです。あくまで目安ですが、普段の＜adidas＞のスニーカー「スタンスミス」を27cm履いているスタッフは＜パラブーツ＞では「サイズ7」を履いています。

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