2018.07.10 update

【対談】『ルパン三世』の世界観と大野雄二サウンドに魅せられた、粋なふたりのコラボレーション（2/2）

スタイリッシュな『ルパン三世』を、それぞれの解釈で表現

大野雄二さんが生み出した、ルパンサウンドに大きな影響を受けているという点でも、共通点のある二人。MUROさんにとってルパンの楽曲を聴くのは、CTIレコード（1967年にクリード・テイラーによって創設された、伝説的ジャズ・レコードレーベル）のジャズを聴くのと何ら変わらない感覚だったという。

「僕がヒップホップのネタ元になっているレコードを探して買い直すというのを始めたのは、CTIからリリースされていたボブ・ジェームスのジャズ・フュージョンあたりから。後々大野さんのインタビュー記事を読んで、CTIやその周囲のアーティストに影響を受けていたというのを知って、やはり繋がっているんだなと感じましたね。そのせいなのか、大野さんの楽曲はとても心地いいというか……、とにかく落ち着くんです」

MUROさん所有のアニメ『ルパン三世』の限定アナログ・ボックス仕様のサントラ盤。オープニング&エンディング・テーマなどを収録している。

MUROさんが操るレコードに憧れ続けてきた坂口さんは、ここで自身とMUROさんと大野さんを繋ぐ“線”を発見。いかにも興奮を隠しきれないといった様子で語ってくれた。

「私はMUROさんの持っているレコードを、いつも“スクリーンショット”のように自分の目に焼き付けていました。そのなかにあったCTIレコードというレーベルの音源が、まさか自分の大好きだったルパンサウンドにまで影響を与えていたとは……。大人になって改めて、大野サウンドの偉大さに気づかされてはいたのですが、憧れていた二人の“音”の源流が同じであったと知り、ただ驚いています」

Yuji Ohno ＆ Lupintic Six（MURO Remix）
7inchアナログレコード 1,620円（100点限り）
*お一人さま1点限り

今回MUROさん手掛ける7inch アナログレコードに収録されているのは、『メインテーマ』と『スーパーヒーロー』という代表的な2曲のリミックス。しかも『ルパン三世』としては意外性十分な、アフロテイストに仕上がっているそう。

「温故知新ではないけれど、今の気分で改めて演奏しなおすという部分と、原曲に手を入れずに当時の空気感を活かす部分と、双極性を持ったアプローチで曲を作りたいというのが最初のイメージでした。最近レコードコレクターの間では、アフリカの自主盤でしか出ていないようなマニアックなディスコやファンクのリイシュー盤が注目を集めていて、僕もフェラ・クティやトニー・アレンのアフロビートを聴き直したりしているんです。これまでの『ルパン三世』サウンドでは“アフロ”というアプローチがなかったので、今回はアフロでいきたいと考えました」

では、坂口さんの手掛けるアップルバムとのコラボアイテムは、どんな内容なのだろうか。

「1990年代の東京育ちの自分は、フォトTシャツが得意な世代（笑）。そこでまず、『ルパン三世』の作品のなかでも、特にカッコいいシーンをTシャツに落とし込めたらいいなと思いました。でもただ“載っけただけ”ではチープになってしまうので、アップルバムらしい独自のプリント手法などを追求しつつ、決してやり過ぎないことにこだわりました。原画のカッコよさを最大限に活かした表現でないと、意味がありませんから」

＜アップルバム＞Tシャツ各6,480円
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メインタイトルロゴの刺繍入りキャップ、オリジナルで描き下ろした浮世絵のイラストをあしらったiPhoneケースなども含め、そのアプローチはカッコいいと思うものをサンプリングし、そのオリジナリティに敬意を表しながら自らの“オリジナル”を創作するという、ヒップホップのスタイルに通ずるものだ。

「ヒップホップの“やり方”とかサンプリングの仕方、『オリジナルであれ』という心得は、すべてMUROさんから教わりました。モノづくりの根底には、ヒップホップというカルチャーがあるんです。だからゼロからなにかを生み出すというよりも、サンプリングやリミックスという手法を駆使し、自分なりの解釈で自分なりの表現をするということを大切にしています。ヒップホップというのはファッションに限らず、ありとあらゆるモノからサンプリングし、“オリジナル”のアウトプットをすることだと解釈しています」

＜アップルバム＞Tシャツ 6,480円
ご購入はこちら

数あるコレクションのなかでも特に目を引いたのは、峰不二子がルージュを引く、「PART2」オープニングの“あの”ワンシーンがプリントされたTシャツだ。

「『ルパン三世』が醸し出す“大人の世界”のイメージは、峰不二子という魔性のキャラクター抜きではありえない。私たち世代にとっては、永遠に手に入らない理想の女性像。セックスシンボルそのものですよね（笑）」

そう笑う坂口さんに強く同意するように頷くMUROさんのお気に入りも、やはりこの“不二子ルージュ”Tシャツであると教えてくれた。