22世紀を見据えて
SUSTAINABLE FUTURE
持続可能な服づくりだけでなく、服飾文化の継承もまた、次代へ伝えていくべき重要な要素。
ビンテージウエアから着想を得たアイテムで、高い人気を誇るナイジェル・ケーボンは、
ポケットなど、なにげないディテイルに込められた機能的な意味や思いを、未来に伝えようとしている。
第10回
流行に左右されない、普遍的な美しさを求めて
ナイジェル・ケーボン氏がつくるアイテムには、ストーリーがある。例えば「マロリージャケット」は、1953年のヒマラヤ登山隊が着用していたアイテムから着想を得ている。
「服づくりをはじめてすぐに、ビンテージウエアにのめり込みました。ミリタリーやアウトドアのアイテムは、すべてのディテイルに意味があるんです。それこそ生死にかかわる場合もありますからね」
所有するビンテージウエアは4000着ほど。膨大な数のサンプルが彼のクリエーションを支えている。
「先人たちが求めた機能的な側面を伝えていくのも、重要な役目だと思っています。それは生地も然りで、母国英国が誇るツイード素材もブランドの大事な要素のひとつです」
持続可能な服づくりのみならず、その文化的な継承もまた、次代に伝えていくべき大きな“遺産”だ。今季のカタログも200ページを超えるボリュームで、アイテムひとつひとつに出自などの説明が加えられている。
「今季はオレンジや青などの派手な色も使っています。これは空母で働く工員のための作業着が着想源ですが、明るい色の服は気分を上げてくれます。流行とは関係なく、それでいて楽しんで着られるような服づくりを続けていければと思っています」
ナイジェル・ケーボン
大学在学中の1971年、前身のブランドである「クリケット」を立ち上げ、その後自身の名を冠したブランド、ナイジェル・ケーボンをスタート。ミリタリーやアウトドアなどのビンテージアイテムから着想を得たアイテムは、世界中で高い人気を誇る。
ケーボン氏のトレードマークともいえるニット帽には、軍の所属を示すようなピンバッジが。遊び心とラギッドさを感じるアクセサリー使いだ。
ビンテージのエマージェンシー用ホイッスルをペンダントトップに。多数のビンテージアイテムを収集し、コレクターとしても一目置かれる存在。
NIGEL CABOURN ナイジェル・ケーボン
ブランドの象徴である「マロリージャケット」をアレンジした写真のアイテムは、セットアップでの着用もおすすめ。ほかにも、定番のアメリカと英国のハイブリッドデザインのカーゴパンツや、ミリタリー由来のメカニックキャップなどラギッドなアイテムを豊富に取り揃えている。
ジャケット 45,360円(麻・綿) ベスト 30,240円(麻・綿) パンツ(左)28,080円(麻・綿) カーゴパンツ(右)31,320円(綿)キャップ 各6,480円(綿)
メンズ館7階=メンズオーセンティック
世界のマニアが注目するケーボン氏のアーカイブコレクション
第2次世界大戦期のフライトスーツ用インナー。マイナス50度までの気温変化に対応するような生地、ディテイルを採用。
英国空軍のコールドウェザーパーカ。第2次世界大戦の頃に開発された高密度コットン、ベンタイルを使用。
同時期に使われていた救命道具。タコのように空に上げて目印にしたという用途も。
ケーボン氏の着想の源にもなっている貴重なビジュアル資料。
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インスタグラムには最新アイテムを用いた着こなしだけでなく、ビンテージウエアや資料などもアップされている。ブランドをより身近に感じられる内容なので、ぜひともチェック&フォローを。